~1~その朝、二人の少年は真緑色の草原で起きた。「ふぁ~あ」 大きなあくびをした一人の少年。 真っ黒な髪に漆黒の眼。黒いノースリーブの上には死神を思わせるフードつきの真っ黒なコート。 そして常人ではありえない防具『ドラゴンメイル』が体を覆っていた。 この少年の名は“レイド” しかし、ドラゴンメイルを装備しているにもかかわらずレイドは童顔だ。 もう一人の少年はレイドとは比べ物にならないくらい大人びた顔をしている。 ネックのノースリーブに砂漠の旅人を思わせる麻の布で出来たコートを着ている。 この少年もまたドラゴンメイルが体を覆っていた。 この少年の名は“ディール” レインとディールはドラゴンメイルというしろものを装備しながらも平凡な顔をしている。 こっち側の世界に限るが・・・・。 むこう、つまりレイドとディールのいる世界では平凡ではないのだ。 まず問題なのはレイドの眼。漆黒の目は魔物とされる。 それとディール。ディールの髪は銀色で眼は鮮血のように鮮やかな紅色をしている。 紅色の髪も魔物とされる。 つまり二人とも魔物なのである。 強さから言うとレイドのほうが強い。が、賢さから言うとディールのほうが賢い。 結果、このアンバランスなコンビが出来ているのである。 この二人、実はほかの人に知られてはいけない重大な秘密がある。 それはこの世界の警備を勤める獣衛隊から抜け出してきたのだ。 獣衛隊とはこの世に生まれた魔物を捕獲し訓練させてこの世界を守っているのである。 獣衛隊はセキュリティー、警備の硬さで有名である。 そこをレイドとディールは抜け出してきたのである。 しかし抜け出してきたのなら追っ手が来るはずだ。 それなのにこの二人は身を隠す場所もないようなだだっ広い草原で堂々と寝転んでいたのである。 もしかしたら彼等にはどうでもいいことなのかもしれない。 と、急にドラゴンメイルがうねった。 ドラゴンメイルとは、竜の鱗で出来た丈夫な防具のことだ。 ただ、手に入れるのが難しい。 このドラゴンメイルは体から『生えて』いるのだ。 つまり二人の体には鱗が生えているのである。 それで珍しいのだ。 ちなみに店頭においてあるドラゴンメイルは偽ものか、ドラゴンメイルが生えている者から剥ぎ取ったものなのだ。 「ちょっと?レイドさん?お前の足おかしいんじゃないすか?」 ディールがレイドの足を指した。 レイドの足はむくんだように腫れ上がり青黒く変色していた。 「あ、ほんとだ・・・。」 この口調からしてレイドは全く気付いてなかったのだろう。 「ほんとだ・・・・・。じゃねぇよ絶対おかしいじゃねぇか」 そう言っているディールもあまり慌てた様子はない。 レイドはナイフを用意していた。 「切って・・・いいかな?」 切りたくてうずうずしているといった様子か。 「別にいいんじゃねぇの?お前の好きにしろよ」 「やたーーーーーー!!!!!」 レイドは早速自分の足にナイフを当てた。 ズシュッ!! 奇怪な音を立てレイドの足に大きな割れ目ができた。 「~♪」 レイドは血の噴き出し方に満足したのかご機嫌である。 しかし、レイドの傷口からは何かがもぞもぞと這い出してきているのだった ジャンル別一覧
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